そもそも代名詞ってなんだ
代名詞(だいめいし)とは、人や物事の名前(名詞)の代わりに使われる言葉で、「これ」「それ」「わたし」「あなた」などが代表的です。文章中で同じ名詞の繰り返しを避け、スムーズに表現するために用いられ、人称代名詞(I, you, he)、指示代名詞(this, that)、疑問代名詞(what, who)、関係代名詞(that, which)など、様々な種類があります。
― Gemini による要約
英語で頻繁に使われるHe/HisやShe/Herなどがこれにあたる。
代名詞は情報の圧縮という点では非常に優れている。
なんたって情報を削減してるわけだ
代名詞は圧縮ではなく切り捨てとカテゴライズである
なぜ最近になって、数多のウェブサイトのプロフィールページで代名詞が選択できるようになったのだろうか。
まあ、近年よく騒がれている多様性というやつらしい。(Facebookあたりが顕著である)
そんなことはおいておいて、代名詞は切り捨てとカテゴライズだという話をしたい。
代名詞は単なる「指し示す記号」以上に「社会的立場」や「属性」を強く帯びている。
そもそも一人称の違いで自分自身の表現や与える雰囲気が変化するというのは不思議な話である。
「役割語としてパッケージングされている」というのが適切かもしれない。
「私」「僕」「俺」あるいはそれ以外を選ぶという行為を通じて既成の枠に自分を当てはめる行為なのだと。カテゴライズすることを強要されているような感じがしてならない。
だからこそ私は状況と雰囲気に合わせて流動的に一人称を変えている。(だから何だという話だが)
というか三人称も不思議なものである
古来日本は「彼」や「彼女」というのはあまり馴染みのない三人称であったらしく明治以降に英訳のため定着したものであるらしい。
それまでは「あの人」「あの方」など、性別を特定しない表現が主だったわけだ。
わざわざ「性別という属性」を強調して指し示すようになったことで、**「人間を語る上で性別は必須のパラメーターである」**という一種のバイアスが言語に組み込まれてしまったとも言えそうだ。
解像度と効率のトレードオフ
結局のところ、毎回名前を呼ぶのは面倒だしコストがかかる。関係性を都度記述するのも大変だ。だから代名詞を用いる。
実際これは効率的だが、その過程で「その人固有の複雑なテクスチャ」は失われてしまう(その善し悪しはここでは論じない)。
日本語はまだましであるという話
日本語は自然言語の中でもかなり自由な文法を持っている言語なのはみなさんご存知だと思う。
文脈で分かるのであれば主語の省略ができる、つまるところ代名詞を使わないことすらある。
固有名詞で呼んでも主語をぼかしたりもできる日本語というのは英語よりはカテゴライズが弱いとも言えそうだ。
英語圏の代名詞に対しての動きとか
英語は「He/His」あるいは「She/Her」の二元論に縛られてきたと言っても過言ではない。
私たちが学校の英語教育で学んだときも「男性はHe、女性はShe」だと教わったはずである。(少なくとも私はそう教わった記憶がある)。
じゃあ性別がわからない時はどうしたらいいんだよってな。
単数形としてのThey
英語圏でわりかし標準的になってきた表現としてtheyを使うというものである。
ex) “My friend is coming.” -> “Oh, when are they arriving?”
こうすることで性別を特定せずに会話を続行できる、「相手を男か女かの箱に無理やり入れない」という選択肢が生まれたわけである。
これは辞書(Merriam-Websterなど)にも正式な用法として登録され、ビジネスや公的な場でも定着しつつある。(先日海外の方と話す機会があり、ビジネスシーンで使う人が多くなってきたと言っていた)。
あるいは宣言するか
これこそ最近増えてきているように感じる。
メールの署名欄とかFacebookなどで「He/His」であったり「She/Her」であったり、あるいはそれ以外の人もいたりする。
「このように呼んでくれ」 という意思表示であってカテゴライズされる立場からカテゴライズを自分で決めるという方向にシフトしつつある。
Ze/Zirなどといったネオ・プロナウンといった新しい代名詞なんかも生まれている。(それもあってFacebookには50種類ほどデフォルトで選択肢があるらしい)。
しかしながら現状はtheyがその他すべてを受け止めている受け皿になっている。
○○-Sanという表現
代名詞の話から少しずれるがまあいいだろう。
これは海外勤務の知り合いに聞いた話なのだが、英語にはないちょうどいい距離感なので使われているということらしい。
- Mr. / Ms. : 堅苦しすぎる。他人行儀で、チームの距離感としては遠い。
- First Name(呼び捨て): 近すぎる。特に日本のビジネス感覚だと、上司やクライアントをいきなり呼び捨てにするのは「心臓に悪い」レベルの抵抗感がある。
「Mr.ほど堅くなく、呼び捨てほど馴れ馴れしくない」という絶妙かつ適度な距離感と敬意を埋める言葉が英語には存在しない。
そこに「-san」がぴったりハマる。「Mike-san」と言えば、フレンドリーだけどリスペクトはある、という一番欲しい距離感が作れるということらしい。
それと先ほどの話にも通じるが、英語の敬称は「Mr.(男)」「Ms.(女)」と性別分けが必須。
しかし「-san」はユニセックス(性別不問)なので、相手の性別を気にせず、とりあえず付けておけば失礼にならないという便利さもある。
これは今後使っていけそうだな、と思っている。
でもこれで面白いと思ったのは、FirstName-Sanという発明。
David-san、Hanako-sanのような、下の名前にSanを付ける不思議。 「英語圏のフラットさ(First Name文化)」と「日本の礼儀(San文化)」を悪魔合体させた、ある意味で最強なのかもしれない。
話を戻して代名詞が迷子という話
さて、本題を話そう。(遅い)
近年いろいろあって代名詞をThey/Themとしている。
トランスとかではなくそういった枠組みが嫌いなだけである。
先述のように一人称も迷子だし…
自分が何になりたいのかなんてわからないでしょうよ。
heも違和感があるわけではない
でも「さん」は確かにThey/Them的に一番正しい(性別がない)のですが、どこか引っかかる。
同時に「あなたには干渉しません、私も干渉しないでください」というATフィールドを張る言葉に感じてしまう。 「さん」の持つ他人行儀さが、まるで「疎外」のように感じられてしまう。
「帯に短し襷に長し」で結局の「迷子」の正体は、「【性別ニュートラル】かつ【距離が近い】」という選択肢が、標準の日本語セットに存在しないということなのではなかろうか。
迷子の正体が分かったところで解決はしないのだが。